チーさまと初代部長(1)

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 当初、赤味がかったフェルナンデスギターの希少性に少々思いがあった俺でしたが、その後、ギターが順そりを起こしているのに気がつき愕然としました。順そりとは弦の張力で棹が曲げられる現象で弓なりになり、押さえにくくなるのです。これは弦を緩めず張りっぱなしで放置していたため起きた現象でした。折しも、フォークソング全盛期で、俺もクラッシックの曲は飽きて(そもそも「小さな日記」はフォークソングです)、禁じられた遊び程度で終わり、そろそろハイコード弾きのフォークソングをやりはじめていました。そうなると高フレッドは弓なりになったギターでは押さえにくく、新しいフォークギター(今でいう、アコースティックギター)が欲しくなりました。

 決定的だったことはチーさま(松山千春)が俺の町にコンサートに来たことです。当時、チーさまは「旅立ち」でデビューし、自分のラジオ番組を持っていました。中島みゆき(帯広)のしもべでありながら、ある時期公然とドン・みゆきに反抗し、ラジオで俺流を語るチーさまはかっこいいなどと、クラスでも話題に。

 そしてチーさまがついに俺の町に来ることとなり、母親が偶然手に入れたチーさまのコンサートチケットを貰って生まれて初めて歌手のコンサートに行きました。俺の感想は「すげぇ。声高けぇ」。旅立ちをはじめとする彼の楽曲はつま弾きを特徴としており、しかもそのテンポの速いこと。すっかり俺はチーさまのファンとなるとともに、ますますフォークギターが欲しい、となっていったのです。(続く)

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