チーさまと初代部長(4)

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ギター部は俺が部長を務め、Aと楽器店(俺がギターを買った店)の息子のKと、人数合わせで俺が引っ張って来たTの四人で構成されていました。ある時、三人の男たちが部活を訪れ入部したいと申し出てきました。それで少ない人数で盛り上がりに欠けていた俺たちは一も二もなく了解してしまいました。詳しい動機を初めに聞くべきでした。実はこの三人はエレキのにーちゃんたちだったのです。次の日彼らは自分たちの楽器を持ち込み始めて激しい音でガンガンやり始めました。リードギターのR君、ドラムスのD君、ベースのB君等です。ドラムスは親が運んでくれたそうで、まさにドラムス子です。あまりに激しい音なので、顧問の先生が慌ててやってきて、やめさせ、俺に「フォークギターだから許可したのだ」と文句を言いました。奴らにそれを言うと、「エレキのどこが悪い。これだってギターだ。」「ベースだってギターだ」と言ってくる始末。しまいにDが、「おまえさ、一度俺たちの練習を見に来いよ」と肩を組んできました。日曜日にDの家に行くとデカい部屋で、ガンガンやっています。耳がちぎれそうに痛くなり、これは俺がやろうとしていることとは違う、と思いました。そしてその次の日、部員のAとKは「奴らをやめさせないなら、俺たちが辞める」と言い出しました。全ての調整をやっていかざるを得なくなり、俺は三人のにーちゃんたちに、部活の方針を話しました。この部はフォークソングをこよなく愛する者たちの集いなのだと力説し、フォークをやってくれないかと。やつらは、「ケッ」と言いながら辞めていきました。しかしこの出来事を通して、既成部員の俺たち仲間にも亀裂が入り始めたのです(続く)

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