チーさまと初代部長(3)

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部活動をやろうと意気込んだ最初の日、俺がもってきたフォークギターをめずらしがって友達たちが寄ってきました。中でもOは、はしゃいで「俺に持たせてくれ、持たせてくれ」とせがむので、仕方なく貸してあげました。彼はストラップをかけたギターを肩にかけて出鱈目にジャンジャン弾きながら、突然「キカイダー、参上」と言ってギターを背中にくるりと回したのです。そして「トゥーッ」と飛び上がろうとした。キカイダーとは、仮面ライダーのようなヒーローもののテレビ番組で、そのヒーローであるキカイダーは最初人間の姿でギターを弾きながら登場し、くるりとギターを背中にして山の上から宙返りして悪人たちのところへ現れるのが常でした。Oはその真似をしようとしたのです。ところがその瞬間ネックに結び付けていたストラップが外れて、ギターは激しく地面に叩きつけられました。
「あーっ、俺のギターがーっ」

ギターはその表面材をトップといいます。そしてその側面の材はサイドと言いますがその二つの材は多くの場合、膠で接着され、その上を飾りのライン取りがされているのですが、ちょうどその右角の部分が欠けて、バッツリ、ひび割れが入ってしまったのです。もはや後の祭り。Oはさすがに悪いことしたと思ったのか「ごめん」と謝ってきました。「ゴメンで済むか!弁償しろ!」「やーだよーだ。謝ったからいいじゃん。」Oはピューッと逃げていっちゃいました。買ったばかりのギターの無残な傷。家に帰って接着剤で修正しようとしましたが元には戻りません。父親が「何だ、買ったばかりなのに、もう壊したのか」と傷心の俺に追い打ちをかけるように。まあ、壊れてしまったものは仕方ありません。しかし事態はこれだけにとどまらず、俺のギター部には暗雲が立ち込めてまいりました。

仲良し四人組 下が俺 上三人の真ん中が俺のギターを壊したO
(注・三人ともギター部のメンバーではありません)

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